抄録
本研究では,個人のモビリティを計測するための方法として,交通手段別に各人の利用可能性指標を算出することを提案した.そして,神戸市の郊外住宅団地における居住者へのアンケート調査結果をもとに,回答者の交通手段別の利用可能性指標を算出し,年齢階層別にそれらの類似性から回答者をグルーピングした.この結果,同じ年齢階層であっても多様なモビリティ水準が存在していることを明らかにすることができた.また,当該地域における居住者による商業・医療施設へのアクセス交通を対象に,提案した利用可能性指標を既存のアクセシビリティ指標に組み込むことによって,アクセシビリティを評価する際には,個人のモビリティの多様性を考慮することの必要性を示唆した.