抄録
近年,流動的な人口の把握が多分野から注目されており,GPSにより収集した大量の位置情報を用いたメッシュ人口のモニタリングが期待される.モニタリングでは異常状態の検知が重要だが,統計的異常検知手法の開発は扱うデータに応じてアドホックに行われている.本研究では異常検知問題を特徴付ける要因を整理し,メッシュ人口データのモニタリングを,半教師学習した統計モデルにより時系列データ中の文脈型異常を検知する問題と設定した.そして,時系列データの潜在状態数を推定可能な階層ディリクレ過程隠れマルコフモデルを援用した異常検知手法を提案した.シミュレーション実験では潜在状態の事後分布を比較する手法を用いることで高い性能を確認し,実データへの適用では列車運転見合わせが発生した時刻での高い異常スコアの検知を確認した.