抄録
緊急輸送道路は広域災害時の物資や救急搬送などの輸送のために各防災拠点間をできる限り複数の経路が確保できるよう各都道府県により指定されている.道路管理者はリンク途絶を防ぐため緊急輸送道路上の構造物の補強などを進めている.しかしながら,整備効率性を無視すれば全体事業費の増大や整備の長期化が生じる.本研究では,複数の経路を確保する条件の下,2つのレベルの強化整備戦略を選択することで総整備費用を最小とする緊急輸送道路を指定するモデルを提案する.提案したモデルを岐阜県のネットワークに適用し,要求される経路数や拠点間所要時間制約について感度分析することでモデルの挙動を確認した.その結果,これらの制約条件と総整備費用にはトレードオフの関係があり,設定時には慎重な検討を必要とすることが明らかになった.