2018 年 74 巻 5 号 p. I_315-I_325
東日本大震災の被災地では,減災の考え方に基づいた「多重防災型まちづくり」として,ハード対策やソフト対策といった防災対策の組み合わせから復興計画を立案してきた.避難におけるルール等のソフト対策は各地域の人口分布や地形,避難施設等の地域特性を考慮する必要がある.本研究では,避難時間圏内の避難場所の総収容人数を累積収容人数と定義し,対象地域の居住者全員が避難できる避難計画を検討した.岩手県宮古市中心市街地を対象として,避難場所へ避難時間が短い順で避難する場合と,累積収容人数を考慮した場合の2つのケースで避難時間の計算を行った.その結果,避難場所の累積収容人数を考慮することで,避難者全員が津波到達時刻までに避難場所へ避難できることを示した.