抄録
本研究では,愛知県尾張地域の就業者約3,000件を対象としたアンケート調査を実施し,都市環境がライフスタイルと健康,主観的知的生産性に与える影響を,共分散構造分析を用いて分析した.その結果,居住環境や就業環境が直接的に,または生活行動を通じて間接的に健康や主観的知的生産性に影響をもたらしている可能性があることを明らかにした.特に,1)室内環境の質は健康に直接的な影響を与える一方,周辺環境の質はライフスタイルの誘導を通じて健康や生産性に影響を及ぼしていること,2)就業者の健康には居住環境だけでなく職場周辺の環境の影響が大きい可能性があること,3)身体的健康が住宅や職場の室内環境との関連が大きいに対し,主観的知的生産性は多様な居住・就業環境の影響を受けること,等が示唆された.