抄録
携帯電話基地局の運用データを基にした人の移動に関する統計情報は24時間365日生成することができる.そのため,人々の移動の経年変化や季節変動を把握できる可能性を秘めている.一方,この統計情報からは,移動の目的や移動手段を直接把握できない課題がある.
本研究は,この統計情報の作成過程において長距離移動手段を利用したトリップか否かを推計する手法を試行した.複数のケースに基づく分析の結果,飛行機利用トリップ推計は電源断・移動速度判定,空港周辺基地局判定を組合わせた判定手法,新幹線利用トリップ推計は新幹線の沿線から半径5km以内に所在する携帯電話基地局を用いた沿線周辺通過判定手法が既存統計調査と最も近い傾向を示すことが明らかになった.