2020 年 75 巻 6 号 p. I_609-I_613
本研究では,自転車の通行方向(左側通行・右側通行)の遵守状況の変化について知見を得るために,平成19年と平成29年の千葉県の自転車事故における自転車当事者の通行方向等を比較した.歩道のある単路部における,第1当事者が自動車で第2当事者が自転車である事故に着目したところ,自動車が直進時の事故において,車道・左側通行の自転車が相手当事者となる割合は74.2%から86.6%に上昇していることが確認された.このことから,左側通行を遵守する自転車が増加していることが類推された.また,右側通行の自転車が相手当事者となりやすい自動車が駐車場等の路外から車道に進入時に発生する形態の自転車事故は,発生件数が38.7%減と他の形態と比較して大きく減少していた.