2022 年 77 巻 5 号 p. I_203-I_211
本研究では,豪雨災害の脅威が迫った時間帯が住民の避難行動に与えた影響を統計的因果推論の枠組みに従って分析した.具体的には,平成30年7月豪雨の脅威にさらされた住民へのアンケート調査データを用いて,住民の避難行動を「立ち退き避難」と「屋内安全確保」に分類し,時間帯による避難行動の違いを検証した.結果として,日中は夜間と比較して,車による「立ち退き避難」が増加していることが明らかとなった.また,「屋内安全確保」と立ち退き避難時の車利用の可能性によって住民の避難行動は変化しており,特に,平屋住まいの方は,0-6時と比較して,18-24時であっても「立ち退き避難」を実施する傾向が明らかとなった.