2022 年 77 巻 5 号 p. I_595-I_602
本研究では,日本の実務において用いられることが多い最短経路探索に基づくマップマッチング(MM)と,近年研究が蓄積されている隠れマルコフモデル(HMM)に基づく MM の経路推定の正確度比較を行 った.具体的には,愛媛県松山市で取得したプローブ(GPS)データと真の走行ルートの情報を用いて,異なる時間解像度(1,5,10,20,30,90秒)が両者のMMの経路推定の正確度にどのような影響を及ぼすかを検証した.結果として,両手法ともに正確度は時間解像度が 10 秒程度までは大きく変わらず,20秒で悪化し,90秒で急激に低下するという傾向がみられた.また,最短経路探索をベースとするMMよりも,HMM を用いたMM の正確度の方が全般的に正確度が高いという傾向が確認された.