2022 年 77 巻 5 号 p. I_985-I_993
潜在的な交通事故の危険性を表す“事故発生リスク”情報の提供により,より安全な経路への需要シフトを実現し,事故削減につながることが期待される.道路利用者の経路誘導を促す可能性を有する事故リスク指標として,高速道路走行時に事故現場に遭遇する可能性を表す“事故遭遇リスク”と高速道路走行時に被る可能性のある事故損失額を表す“事故損失リスク”の2指標が提案されている.本研究では質の異なるこれらの事故リスク指標を提供する場合に期待される経路誘導効果と事故減少効果を評価する.経路選択を有するNEXCO西日本のネットワークを対象に,事故リスク情報を考慮した経路選択モデルを用いて,各種事故リスク指標を提供した場合の道路利用者の経路選択率への影響と事故リスク情報提供による事故減少効果を定量的に示した.