2022 年 78 巻 6 号 p. II_695-II_703
我が国は,超高齢化社会に伴う高齢者の介護や健康維持が問題となっている.近年,エイジング・イン・プレイス(地域居住)の理念に基づく考え方が広まりつつあり,自宅に住み続けながら地域で暮らしたい意向のある高齢者をどのように支援するか,課題となっている.このため,居心地が良い場所,外出しやすい環境,自立のための支援が受けられる等の対策が必要である.しかしながら,地形的な要因による自力での外出が困難な状況や,公共交通等の未整備によるお出かけの阻害,これらに起因する閉じこもりなど,諸問題への対応が急務と言える.そこで本研究は,お出かけ支援策としての買い物送迎に着目し,横浜仏向地区社会福祉協議会が行なう事業「仏向ふれあいワゴン」の活動を取り上げ,利用者である高齢者の居場所づくり,おでかけ支援として主に買い物送迎時の実態を把握した.その結果,ワゴンの存在が,利用者の暮らす手助けとしての買い物支援に留まらず,利用者にとっての居場所となり得る事が明らかとなった.