2022 年 78 巻 6 号 p. II_798-II_811
自動運転システム(以下,AVs)の実証実験や運転支援技術の実装に伴い,将来利用者となる人々のAVsに関する議論や課題も多様化していると考えられる.今後,AVsの社会的受容性を検討するうえで,これらを把握する必要がある.そこで,マスメディアの一つである新聞による報道に着目する.新聞は議題設定効果を有していると言われており,新聞分析では人々が抱える議題を明らかにできる.本報告では,AVsについて新聞が社会に提供した議題を明らかにし,AVsの開発・導入の議題の変遷を把握することを目的とする.読売新聞を調査対象とし,「自動運転」の登場よりAVsに関する記事を収集し,質的分析を行った.その結果,国際競争で勝つために開発するといわれる背景にガラパゴス携帯の失敗があること,技術への過信が危惧されていることなどが明らかとなった.