2013 年 69 巻 2 号 p. 192-206
単純支持されるせん断スパン比が1.5~3.0の鉄筋コンクリート梁を主対象に,せん断補強鉄筋量がせん断耐力に及ぼす影響を数値解析的に検討し,既往のせん断耐力算定式との比較を行った.梁の形状・寸法やせん断補強鉄筋比および降伏強度等をパラメータとした2次元の非線形FEM解析から,せん断補強鉄筋が多量に配筋されたせん断スパン比が大きい棒部材では,降伏強度に相当する引張力をせん断補強鉄筋が負担する前に,載荷版近傍の圧縮域のコンクリートの損傷が進展し,部材の最大耐力がせん断耐力の算定値を下回ることが示唆された.解析から得られた最大耐力,すなわちせん断破壊耐力と,修正トラス理論に基づくせん断耐力算定値との比較から,既往のせん断耐力算定式に対する,せん断補強鉄筋が受け持つせん断耐力に関する上限を提案した.