コンクリートの乾燥収縮ひずみによって生じる変形は,100×100×400mmの角柱供試体や橋梁の上部工等,断面寸法に比べて部材の長さが長い場合には,平面保持の仮定が成り立ち,断面のどの位置で測定しても同じ大きさとなる.このような乾燥収縮ひずみの経時変化は,乾燥収縮ひずみの最終値と乾燥収縮ひずみの経時変化を表す項の二つの係数からなる双曲線によって表すことが可能である.
本論文では,JIS A 1129に従い試験室で測定された乾燥収縮ひずみを基に,実構造物における乾燥収縮ひずみを予測する手法を検討した.厚さが400mm程度までの供試体または部材であれば,乾燥収縮ひずみの経時変化を表す項は部材厚の二乗に比例することを示す.