2014 年 70 巻 4 号 p. 402-416
曲げ降伏後のせん断破壊がクリティカルなモードとなりやすい火力・原子力発電所の地中構造物にとって,鉄筋コンクリート部材のせん断破壊を判定する変形指標の導出は重要な課題である.本研究では,片持ち形式の柱7体と,逆対称曲げ形式の柱11体の正負交番静的載荷試験を行う.画像から変位の分布を計測し,幾つかの変形指標と水平耐力との関係を整理する.特に,部材の厚さ方向の膨張(平均引張ひずみ)に応じて水平耐力の残留率が単調に減少すること,その膨張量が除荷後も残留しやすい指標であることを示す.続いて,材料非線形性を考慮した有限要素解析によって実験結果を追跡し,実験と同様の傾向が得られることを確認する.