2022 年 78 巻 4 号 p. 244-263
本研究では,実在のPC橋を対象として,終局付近での主桁の挙動・破壊性状の確認のために,上部構造が破壊するまでの静的載荷試験を行うとともに,設計実務で一般に使用される線形骨組みモデルに部分的な拡張を行った解析モデルを構築し,PC上部構造の耐荷性能を評価する手法を検討した.破壊試験の結果,上部構造として配置された主桁がせん断耐力に達した場合でも上部構造としては横桁や間詰部を介して荷重が再分配され,変形性能が保たれることが明らかとなった.また,その結果を活用し構築した拡張骨組みモデルは,破壊した上部構造の挙動を概ね再現が可能であることがわかった.さらに,拡張骨組みモデルは新設設計で考慮する荷重を用いた上部構造全体の破壊安全性の評価や破壊過程を検証する手法として有効であることがわかった.