抄録
沿岸の防波護岸のような水深が浅く海底勾配が急な条件において,上久保らは,法先にあるブロックが沖側へ移動して,消波ブロックが徐々に沈下する被害が顕著になるとして,設計波高を割増してブロックの所要質量を算定する方法を提案している.しかしながら,適用条件は海底勾配が1/20の場合に限られる.本研究では,防波堤の海底地形としては急勾配である1/30の地形の浅い水深に設置した消波ブロックの安定性に関して,段階波による実験的検討を行った.その結果,水深が小さくなると安定数が小さくなる傾向があり,0.35≦h/Ho’<0.85の条件において,従来の算定法ではブロックの所要質量が過小に評価される場合があることを示した.さらに,消波ブロック法先部の被害メカニズムを明らかにした.