土木学会論文集B3(海洋開発)
Online ISSN : 2185-4688
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海洋開発論文集 Vol.36(特集)
  • 安部 智久
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_1-I_6
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/28
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     近年全長300mを超える大型のクルーズ船の入港が増加傾向にある.このようなクルーズ船はより大きな回頭水域等の水域施設を必要とする一方で,ポッド式の推進方式等を備え操船性が向上しているといわれている.本研究は,港湾整備や入港時の評価への参考情報を得ることを目的に,船舶データベースによるクルーズ船の大型化・高性能化の傾向の分析と,AISデータを用いた大型船の国内外の回頭に注目した港湾の水域利用実態について分析を行うものである.その結果,クルーズ船の高性能化と大型化との関連性,高性能クルーズ船の必要回頭水域規模等についての知見を得た.

  • 鈴木 武, 田中 裕一, 田谷 全康, 山崎 智弘, 水野 健太
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_7-I_12
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/28
    ジャーナル 認証あり

     首都直下地震が発生した場合,膨大な量の災害廃棄物が発生する.それらの廃棄物は発生場所近傍の一次仮置場に集められ,その後,廃棄物を速やかに二次仮置場に運搬,二次仮置・中間処理,処分,再生利用していく必要がある.

     そのため,東京圏の中心部に広大な陸海空間を持つ港湾に着目し,港湾を使った災害廃棄物の二次仮置場への運搬,二次仮置・中間処理,処分,再生利用を検討し,そのコンセプトモデルを作成した.そして,そのコンセプトモデルの妥当性をみるため,首都直下地震時の東京港を模擬して災害廃棄物の二次仮置場への運搬,二次仮置,処分,再生利用について検討を行った.その結果,各検討項目は現実的なスケールに納まることが見込まれた.

  • 佐々木 友子, 赤倉 康寛
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_13-I_18
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/28
    ジャーナル 認証あり

     我が国寄港のクルーズ船の大型化やクルーズ旅客の急増など,近年の我が国を取り巻くクルーズ環境が激変する中,より効率的な港湾の計画・整備を行うためには,クルーズ船寄港に伴う経済効果の把握が必要である.

     本研究では,我が国に寄港するクルーズを対象に,多様なクルーズ旅客の消費特性を精緻に把握するため,旅客の主な国籍やクルーズクラス等が異なる8クルーズの旅客へアンケート調査を実施し,その経済効果を把握した.その結果,国籍,クルーズクラス,日本国内寄港港数によって平均消費額が大きく異なることや,国籍によるオプショナルツアー参加率及び前後泊率の違いがあることが明らかになった.また,旅客の行動における港湾管理者自治体内/外の割合を示し,経済効果の割合も試算した.

  • 森山 弘將, 赤倉 康寛
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_19-I_24
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/28
    ジャーナル 認証あり

     近年,東アジアの急激な経済成長を背景に,日本港湾の相対的地位は低下しており,欧米基幹航路の国内への寄港便数が減少傾向にある.一方で,アライアンスは,集荷が想定されるコンテナ量を基に,各港湾へのサービス(寄港船型や便数)を判断している.この点を踏まえ,本研究では,アライアンス別の航路サービスとコンテナ量の関係性を分析した.その結果,どのアライアンスも,各港湾に割当てられた船腹量と実績コンテナ量との間に強い関係性があり,平均消席率は概ね5~7割となっていた.また,多くの日本港湾では,消席率が東アジア平均を下回っていたが,直航貨物や西航貨物に限定すればアジア主要港より高いか,もしくは,同レベルにあった.さらに,北米航路の維持・拡充に必要と想定されるコンテナ量の目安値を算定した.

  • 中園 大介, 牛木 賢司, 石山 祐司, 菅原 吉浩, 河野 達仁, 中泉 昌光
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_25-I_30
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/28
    ジャーナル 認証あり

     近年,食の安心・安全への関心の高まりから,多くの産地で衛生管理型漁港の整備が進められている.衛生管理対策により得られる効果については,これまで様々な分析手法により定量化が試みられている.しかし,従来の分析手法は,漁獲量の変化に伴う需給バランスによる偶発的な単価変化が十分に考慮されていないという課題があった.

     そこで本研究では,近年,衛生管理型漁港の整備数が増え,比較可能なデータが蓄積されてきたことから,因果関係を統計的に分析する「差分の差分分析(Difference-in-Differences)」を行い,衛生管理対策が魚価変化に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.これらの分析により,衛生管理対策による効果の定量評価ができた.

  • 古山 卓司, 赤倉 康寛, 松尾 智征
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_31-I_36
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/28
    ジャーナル 認証あり

     我が国の自動車産業は日本経済を支える重要な基幹産業としての地位を占めている.近年,自動車業界の競争激化により,自動車製造のさらなる効率化が求められており,自動車メーカー間の経営統合や工場の集約・移転が進展している.

     本研究では,自動車組立工場の生産台数変化やモーダルシフト進展による自動車部品の海上物流の変化を把握し,想定される自動車業界の将来動向や物流の変化を踏まえた海上物流の将来について考察したものである.その結果,自動車部品の入荷は,コンテナ輸入が顕著に増えており,地域によっては内貿ユニットや鉄道が増加していることが判った.加えて,さらなる海上輸送の活用に向けて,コンテナターミナルやアクセス道路の混雑緩和や内貿ユニット輸送におけるインバランス緩和といった方向性を考察した.

  • 仲井 圭二, 額田 恭史, 橋本 典明, 川口 浩二
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_37-I_42
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/28
    ジャーナル 認証あり

     特異日とは,その前後と比べて,特定の気象現象の出現頻度が高い日で,経験的に強風,弱風の特異日として知られている日がある.風の特異日が存在するのであれば,風によって生成される波浪の特異日が存在するはずである.波浪の特異日の特性が明らかになれば,大型の港湾工事の工程を立てる際にも有用な情報になると考えられる.本研究では波浪と風に着目し,特異日の存在について調べた.その結果,強風,弱風の特異日として経験的に知られていたものが,観測資料から確認できた.高波高の特異日は,日本海側では強風の特異日と対応するが,太平洋側では必ずしも対応しない.低波高の特異日は,両海域とも弱風の特異日と対応する.波形勾配については,高(低)波高の特異日は,波形勾配が大きい(小さい)特異日と対応している.

  • 松藤 絵理子, 橋本 典明, 川口 浩二, 宇都宮 好博
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_43-I_48
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/28
    ジャーナル 認証あり

     本研究では,太平洋沿岸を対象とし NOWPHAS観測値を用いてうねりの出現特性を明らかにするとともに,台風1721号の波浪推算と精度検証を通してうねりの推算精度向上に向けた検討を行った.NOWPHAS観測値をpartitioningにより解析した結果,東北太平洋沿岸では,多峰性の波浪やうねりの出現回数が多く,多様な波が重合していることが確認された.台風1721号の波浪推算では,鹿島港特有の周期の長いうねりが犬吠埼沖の海底地形の影響により発生していることを示した.また,推算精度向上の検討においては,非線形相互作用の項及び方向解像度について推算結果に与える影響を調べた.非線形相互作用の項にGMDを用いた場合はうねりの推算精度が若干高くなることがわかった.

  • 大久保 諒也, 竹山 優子, 池谷 毅, 大澤 輝夫
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_49-I_54
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/28
    ジャーナル 認証あり

     日本周辺の沿岸海上風を正確に把握する手法開発を目的として,Sentinel-1に搭載された合成開口レーダ(SAR)による日本沿岸の5海域を対象とした海上風推定の精度検証を実施した.SAR画像は100×100mと500×500mの範囲でそれぞれ平滑化し,その後,風速推定を行った.500mで平滑化したときは,RMSEは1.31m/s~1.75m/sとなり,100mで平滑化したときよりも風速推定精度が高くなることが分かった.これは,人工構造物による強い後方散乱が海上風推定に影響しており,平滑化範囲を広げることでこの影響を軽減することができたからである.さらに,遠浅の海域では低風速時に砕波によって海面の粗度が大きく変化することで,SAR推定風速が実際の風速よりも過大評価されることが分かった.

  • 土井 善和, 村上 嘉唯, 中山 仁, 早川 哲也
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_55-I_60
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/28
    ジャーナル 認証あり

     波浪に対する港湾の稼働率の評価は,本来,船体動揺による荷役の可否から判断されるべきであるが,その現象の複雑さから,係留施設前面の波高が荷役限界波高を下回る頻度から防波堤の整備を計画している.しかし,苫小牧西港フェリーターミナルでは防波堤が概成しているにも関わらず,タグボートによる船体の押さえつけや荷役中止・離岸を行う等の問題が発生している.そこで,本研究では,苫小牧西港区でフェリーの動揺観測を行い,船体動揺特性の解明と予測方法の検討を行った.

  • 内山 将吾, 大澤 輝夫, 嶋田 進, 小垣 哲也, 中村 聡志, 古川 正樹
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_61-I_66
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/28
    ジャーナル 認証あり

     本研究では,沿岸海域における沖合及び上空の風速推定を行う手法として,メソ気象モデルWRFのLESモードを用いた16風向別定常計算と現場観測値を組み合わせた手法を提案する.茨城県神栖市波崎海岸を研究対象海域とし,洋上ブイや鉛直ドップラーライダーの実測値と比較することにより,その推定精度の検証を行った.その結果,WRF-LESを用いた本手法は,既往研究で行われたWRF計算と遜色ない計算精度で風速を推定できることがわかった.その一方で,陸風時に水平風速勾配及び鉛直シアが過小評価される問題があることが明らかになった.陸上の力学的計算条件の見直しに加え,大気安定度別にWRF-LESの計算を行うことにより,更に推定精度を向上させることができる可能性が示唆された.

  • 木原 直人, 田村 英寿, 坪野 考樹, 吉井 匠, 平口 博丸
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_67-I_72
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/28
    ジャーナル 認証あり

     洋上風力発電の地点選定の意思決定において重要となる施設導入および維持管理コストの予測には海象条件の把握が必要となる.著者らは1958年から2010年までの全球・領域気象再現解析から推定された海上風データを用いて,同期間の長期波浪再現計算を実施してきた.ただし気象再現解析による台風強度の再現精度の問題から,台風時の高波が過小評価されることが課題であった.そこで,台風時には経験的台風モデルと全球再解析値とを組み合わせて海上風を設定することにより,台風時の波浪の再現精度を向上させた.また,観測データとの比較を通して,常時波浪や,台風時および非台風時における極大波高の推定精度を確認した.この長期の波浪推算結果を用いることにより,洋上風力発電事業の地点選定の判断に資する波浪情報を提供できるデータベースを構築した.

  • 平山 克也, 濱野 有貴, 山田 宗拓
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_73-I_78
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/28
    ジャーナル 認証あり

     沖防波堤をなすケーソン群の一部が没水した港湾に残存する静穏度を適切に評価し,岸壁を早期に暫定供用するためには,ケーソンが完全に消失したとみなす代わりに潜堤として機能することを考慮して波浪変形計算を行うことが必要と考えられる.そこで本研究では,水深が急変する矩形潜堤での波の分裂・屈折・砕波をも計算可能な平面2次元ブシネスクモデルを用いた港内静穏度解析を実施し,被災形態の違いが対象岸壁の荷役稼働率に与える影響を考察した.

     港口付近の未消波区間のケーソン天端が水面下2mまで沈下した場合,波高1mの入射波に対する伝達波の周期は背後の比較的広い範囲で約80%に短周期化するとともに,砕波減衰などのために,ケーソンが完全に消失した場合に比べ対象船舶・岸壁での荷役稼働率は10%以上高くなることが確認された.

  • 田中 和広, 山部 道, 平石 哲也
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_79-I_84
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/28
    ジャーナル 認証あり

     3次元海浜流・海浜変形数値モデルによる人工リーフ周辺の流況および海浜変形シミュレーションについて,野口ら1)が行った水理模型実験の再現計算を実施し,数値モデルの適用性を検討した.数値モデルは,波浪変形解析はSWAN,3次元海浜流場の解析はPOM,地形変化解析は波・流れ共存場の漂砂モデルで構成される.海浜流の駆動力として砕波帯砕波エネルギー減衰から効率を考慮して求められる海面せん断応力を適用した.人工リーフ周辺の流況に関する計算結果は表層および底層の実験結果を比較的よく再現できた.流速値についても計算結果は概ね実験を再現した.地形変化計算は汀線近傍の堆積傾向の再現性に課題があるが,波高が高いケースではある程度の地形変化傾向を再現した.用いた3次元海浜流,海浜変形モデルが概ね良好な適用性を有することを確認することができた.

  • 松下 紘資, 平石 哲也, 河村 裕之, 間瀬 肇
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_85-I_90
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/28
    ジャーナル 認証あり

     空港施設など制限表面により護岸の嵩上げが難しい状況において,消波工と護岸の間に切欠きを設けなければならないことがある.このような特殊な形状の消波工断面について,大きな遊水部を持つような場合の研究は実施されているが,比較的小さな切欠きを有する消波工断面での研究例はほとんどない.本研究は天端の後端に三角形状の切欠きを有する消波工の安定性および越波特性を明らかにすることを目的として水理模型実験を実施し,消波工を乗り越えてきた水塊の影響により天端後方法肩付近の消波ブロックが被害を受けやすいこと,越波量については,切欠きがある場合は切欠きがない場合に比べて越波量が増加することを明らかにした.

  • 久保田 真一, 松本 朗
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_91-I_96
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/28
    ジャーナル 認証あり

     堤防や護岸の前面に,越波低減のために消波ブロックによる消波工を設ける事例は多い.越波流量は,主に合田ら(1975)の越波流量算定図を用いて算定されるが,消波工の規模や形状が異なると算定値と大きく異なることが指摘されている.とりわけ消波ブロックが被災することで消波工断面が大きく変形した際の越波流量については,推定が困難といえる.これまで,消波工の断面変形と越波流量を関連付けて検討された例はあるが,堤体天端高が限られた条件での検討であった.そこで,比較的幅広い堤体天端高の条件のもとに一連の水理模型実験を行い,消波工の断面変形に伴う越波特性の変化について検討した.堤体天端高によらず,消波工の天端が静水面付近まで沈下する過程において越波流量は増加する.それ以上に変形が進むと越波流量の増加は抑制される傾向にあり,堤体天端高が高いほど顕著である.

  • 山城 賢, 柴田 雄也, 中谷 和博, 児玉 充由, 原 知聡, Ain Natasha Balqis , 倉原 義之介, 武田 将英
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_97-I_102
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/28
    ジャーナル 認証あり

     著者らは,既存の護岸に円柱状のものを係留する低コストかつ簡易な越波対策工を提案して,将来の実用化に向けた基礎的な検討を進めている.本研究では,簡易越波対策工の越波低減効果および係留索に作用する張力について水理模型実験により検討した.その結果,本実験の範囲では,簡易越波対策工により60%程度の高い越波低減効果が期待されること,係留索に作用する最大張力は有義波高にほぼ比例して増加すること,一波毎の張力の発生確率密度分布は,入射波高が小さい場合は正規分布に従うが,波高の増大にともない,張力の大きい側に裾が長く歪んだ分布となり,大きな張力の発生確率が高くなることなど,本対策工の実用化に資する重要な知見を得た.

  • 佐伯 信哉, 濱野 直矢, 村上 剛, 中村 孝幸
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_103-I_108
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/28
    ジャーナル 認証あり

     防波堤などの外郭施設は,港内の静穏度を向上させる反面,港内水域の閉鎖性を強め,港湾内外の海水交換を阻害するなど,港内の水質汚濁の原因となりやすい.近年,港内水域の環境改善策の一つとして,波運動を原動力とする海水交換促進型防波堤が提案され,現地で実用に供されるようになってきている.本研究は,従来において施工実績が多いスリット壁を前面壁とするスリット型防波堤を対象に,その遊水室下部に新たに通水路を設けることによる海水交換促進効果の実態を実験的に明らかにする.この際,防波堤の重要な機能である反射・透過波の制御効果についても理論と実験により検討する.

  • 鶴江 智彦, 青木 健太, 松下 紘資, 安田 誠宏
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_109-I_114
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/28
    ジャーナル 認証あり

     海岸護岸の設計では越波流量を許容値以下に抑えることが重要だが,親水性や景観面への配慮から天端高をできる限り抑えることが望まれる.護岸の前面海域への拡張に制限がある場合は,消波ブロックを積み上げて形成される直立消波ブロック護岸が適用される.著者ら1)は,これまでに2種類の斜積消波ブロックについて,直立護岸と越波特性を比較検討しているが,海底勾配は1/30に限定されている.そこで本研究では,新たに海底勾配1/10における水理模型実験を実施し,海底勾配の違いによる越波特性を比較した.実験の結果,菱形開口部を有する斜積消波護岸は,蓋型の天端工にした場合,越波低減効果が高くなった.また,海底勾配が大きいほど堤前の反射率は低下し,越波流量が増加する傾向がみられた.斜積消波ブロック護岸の異なる海底勾配における越波流量と打上げ高を求める算定式および算定図を提案した.

  • 長谷川 巌, 有川 太郎
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_115-I_120
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/28
    ジャーナル 認証あり

     港湾外郭施設の耐波設計において従前から活用されている模型実験に代わり,数値計算が適用される事例が出てきている.それらの数値計算の精度と計算時間およびコストについて,模型実験との比較を行い,耐波設計における模型実験から数値計算への移行の検討を行った.浅水変形や砕波変形などの波浪変形と長周期波の反射波については,現時点で数値計算への移行が可能である.波圧,越波,伝達波については数値計算の実施が可能であるが,設計実務への適用にあたっては精度検証の必要があるとともに,計算速度の向上が望まれる.ケーソンの滑動や消波ブロックの移動など物体の移動を伴う現象についての数値計算は,技術的課題と計算時間の観点から,現時点では設計実務への適用が難しい.

  • 田中 敦, 鈴木 高二朗
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_121-I_125
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/28
    ジャーナル 認証あり

     衝撃砕波力が構造に作用すると,護岸の堤体が振動して地盤に伝搬し,背後地の振動が問題となることがある.そこで本検討では,水理模型実験を実施して波の作用と振動の発生状況を確認した.実験の結果,以下のことが明らかとなった.1)衝撃砕波力が作用すると護岸堤体部で最大6m/s2加速度が発生し,振動が背後地盤へ伝搬した.2)振動は減衰しながら背後地盤を伝搬し,ある特定の周波数の振動のみが伝搬した.3)鉛直,水平方向の振動加速度の位相は半波長ずれており,4)レーリー波として伝播することが明らかとなった.5)また,振動の伝搬を遮断する目的でトレンチを設置したが,振動がトレンチ下部の地中を伝搬するため,顕著な低減効果を得られないことが分かった.

  • 本山 賢司, 佐藤 典之, 要害 紳吾, 前田 優, 本田 達也, 落野 憲人, 中島 秀行, 西村 裕毅
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_126-I_131
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/28
    ジャーナル 認証あり

     苫前漁港北護岸は,高い基礎捨石マウンドを有する防波護岸構造を採用し,護岸背後から海底面までの基礎捨石表面を厚さ50mmのアスファルトマットで被覆して,基礎捨石から埋立土砂の吸出しを防ぐ構造とした.埋立完了後3年が経過して,護岸背後の道路舗装が盛り上がる被害が発生し,現地調査から基礎捨石内で高まる波の圧力が原因と想定された.この対策として,護岸の水叩きに圧抜きのための開口部を設けることとしたが,高基堤護岸の基礎捨石内に発生する間隙水圧に関する知見はこれまでになかった.そのため,現地観測を実施して波浪と間隙水圧の関係を調べるとともに,波浪・地盤・構造物の相互作用に関する数値モデル(WSSI)を適用し,数値計算により圧抜き工所要幅を検討した.

  • 髙橋 研也, 前田 勇司, 三好 俊康, 仁井 克明
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_132-I_137
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/28
    ジャーナル 認証あり

     洋上風力発電設備の基礎形式であるモノパイル重力式基礎について,RC製底版の形状を矩形より軽量で低コストが望める円形や正八角形とした場合の検討をおこなった.風や波浪による偏心傾斜荷重作用時における安定性や底版に作用する揚圧力に関する知見を得るため,5MW風車対象の断面水理模型実験や数値波動水槽CADMAS-SURF/3Dによる数値解析を実施した.

     その結果,照査上の転倒限界値を7〜11%上回るまで安定であり,転倒時においても基礎砕石の支持力破壊は見られなかったことから,従来の安定性・支持力照査手法を準用できることが分かった.また,底版の平面形状および波浪条件によらず,波向直交方向にほぼ一様な揚圧力分布となり,設計波作用時における鉛直波力モーメントの寄与率は最大で8〜14%程度となることを確認した.

  • 廣田 理織子, 重松 孝昌, 加藤 健司, 吉岡 真弥, 脇本 辰郎
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_138-I_143
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/28
    ジャーナル 認証あり

     世界中で再生可能エネルギーの需要が高まる中,波力発電に関する現状の技術レベルの向上に資する研究は不可欠である.著者らは,これまでに,エネルギー消費の多い都市を抱える内湾を対象として、港湾施設を利用した波力発電システムの開発を進めてきている.本研究では,内湾相当の静穏条件下で波動場,流れ場,波・流れ共存場を対象として実験を行い,それぞれの場における水車の回転特性と流速との関係を定量的に評価している.実験結果より,波動場に設置された場合の水車の回転周速度と流速の関係は,流れ場に設置された場合のそれとは異なる傾向を示すことが明らかとなり、異なる式で評価されることを示している.さらに,これらの知見を基に,波・流れ共存場に設置された場合の周速度と流速の関係についても定式化が行われている.

  • 鶴田 修己, 鈴木 高二朗, 朝比 翔太, 遠山 憲二
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_144-I_149
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/28
    ジャーナル 認証あり

     ケーソン型岸壁の耐津波性能について,ケーソンに作用する波力や引き波によるケーソン背後の裏込部の影響に関する検討は未だ不十分な状況にある.そこで本研究では,水理模型実験を実施して,岸壁のケーソンに作用する津波の越流波力の変動特性と波力算定式のための静水圧補正係数を整理した.また,堤体の安定性向上の手段として,裏込部の固化処理による効果を確認するとともに,周囲構造物の損傷(固化処理部の亀裂やケーソンの傾き)による作用波力と堤体の安定性についても検討を実施した.実験からは,固化処理を施すことによって固化処理部内部の水位が低下し,ケーソンへの作用波力が低下することを明らかにした.また,固化処理では周囲構造物の損傷が小規模で生じた場合にも,より粘り強い構造を維持することを示した.

  • 田中 仁, Nguyen Xuan TINH , 西脇 遼, 渡辺 一也
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_150-I_155
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/28
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     津波の数値シミュレーションを行う際には,通常,定常流の摩擦係数を用いる.しかし,著者らの研究によれば,定常流摩擦係数が使用出来る範囲は浅海域の狭い範囲に限られ,津波波源から浅海部の広い範囲において波動摩擦係数を使用すべきであることが示されている.そこで,このような底面境界層の遷移特性を反映した一次元津波伝搬の数値計算を実施するために,粗度係数に対する修正係数を導入した.計算には浅水流方程式を用い,深海部において孤立波を入力した.その結果,津波の波高・流速に関しては,本研究による新たな計算法と定常流摩擦計算を用いる通常の手法との間でほとんど差が見られなかった.しかし,得られる底面せん断力については波源域で約10倍程度の差が見られた.また,移動限界シールズ数についても,二つの計算において有意な差違が見られた.

  • 中村 友昭, 鈴木 涼太, 趙 容桓, 水谷 法美
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_156-I_161
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/28
    ジャーナル 認証あり

     海岸堤防と背後盛土が一体となった粘り強い構造の海岸保全施設を津波が越流する状況を対象に,その背後に立地した建物を模した構造物に作用する津波力を数値解析により検討した.水理実験との比較より,津波による背後盛土の侵食を数値解析により概ね再現できることを示した.盛土の有無や盛土侵食の有無を変化させた数値実験より,津波による盛土の侵食が小規模な条件では盛土の侵食を考慮した場合の方が盛土の侵食を考慮しなかった場合よりも津波力が小さくなる傾向がある一方で,盛土の侵食が大規模な条件では盛土の侵食を考慮した場合の津波力の方が大きくなることが判明した.以上より,津波力の評価を行う際に,盛土の流失を考慮した検討を行うことの重要性と,巻き上がった浮遊砂による流体の見かけの密度の増加を考慮することの重要性を示した.

  • 織田 幸伸, 本田 隆英, 小俣 哲平
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_162-I_167
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/28
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     東日本大震災以降,想定を超えて防潮堤を越流する津波を対象とした対策が求められている.防潮堤背後では,射流の発生等,一般に適用される長波近似の浸水解析では再現できない現象が生じる.また,検討手法の1つであるPRAでは,津波高および堤体高と越流浸水深の関係を求める必要がある.そこで本研究では,防潮堤背後における越流時の浸水特性について水理実験を実施し,その特性について明らかにするとともに,防潮堤のない通過波の浸水深に基づいた評価モデルを構築した.本成果を活用することで,効率的なPRAの実施や,堤体背後地に設置された構造物安全性の検討が期待される.

  • 古路 裕子, 中口 彰人, 鷲巣 勇, 楳田 真也
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_168-I_173
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/28
    ジャーナル 認証あり

     透過性防波柵(以下,防波柵)は主に護岸上に設置し,高潮・高波による越波や飛沫拡散を低減するために利用される.本研究では,幅広い現地の条件に適用するために相対天端高が低い波浪条件での水理模型実験を重点的に実施し,直立護岸及び消波護岸それぞれの場合における,防波柵による越波の低減効果及び波力特性を調べた.その結果,防波柵に作用する波力低減比は遮へい率σ以下,越波低減比は透過率ε+0.2程度に低減されることが分かった.ただし,消波護岸で相対天端高1~1.5付近では,低減比の変動が激しい.消波護岸に到達する波の状態(砕波・非砕波,砕波形式)により防波柵への水塊や飛沫の作用状況が変化し易いためであった.消波護岸上の防波柵への波の作用状況や低減比は,波形勾配や相対水深で整理できることが分かった.

  • 有光 剛, 松田 通, 川崎 浩司
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_174-I_179
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/28
    ジャーナル 認証あり

     本研究では,津波来襲時に取水設備内に流入する浮遊砂の輸送特性を把握することを目的として,水理模型実験を実施した.実験では,浮遊砂を混入した貯水部端部に設置したゲートを開放することで,計測区間に津波および浮遊砂を流入させた.計測区間には,海域,取水トンネル,ポンプ室を設け,ポンプ室では所定の流量で取水を行った.津波の流入およびポンプによる取水に伴ってポンプ室まで輸送される浮遊砂の濃度の時空間変化を,濁度計を用いて計測した.

     実験では,取水トンネルとポンプ室における流れに及ぼす取水の有無および取水量の影響が大きいことが確認された.また,取水口からポンプ室にかけての浮遊砂の時間平均濃度および最大濃度の低減率に関しても,取水条件による差異が大きいことが明らかとなった.

  • 川崎 浩司, 二村 昌樹, 有光 剛
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_180-I_185
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/28
    ジャーナル 認証あり

     沿岸部の発電所取水施設に対する津波流入過程を精度よく評価するため,3次元数値波動水槽CADMAS-SURF/3Dによる数値シミュレーションを実施した.水理実験の再現性向上を目的にパラメータスタディを行った結果,壁境界条件,移流項の離散化手法,乱流モデルそれぞれに対して,壁関数,1次精度風上差分,標準k-εモデルを使用した条件で再現性がよい結果が得られた.また,取水ポンプの取水量を変化させた水理実験および数値計算を実施し,ポンプ取水量が津波の流動場に大きな影響を与えることが明らかとなった.さらに,計算結果から,津波流入時の取水トンネル近傍では乱流を含む複雑な3次元流動場が形成されることがわかり,取水施設における津波流入過程の現象解明には3次元モデルの活用が重要であるといえる.

  • 本田 隆英, 織田 幸伸, 伊藤 一教, 橋本 貴之
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_186-I_191
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/28
    ジャーナル 認証あり

     防潮壁に作用する津波波力は,津波衝突時の段波波力と浸水深増大時の重複波力に大別される.このうち段波波力は評価方法が確立していないのが現状であり,段波波力を低減でき,重複波力が支配的となれば,重複波力の算定手法により津波波力の評価が可能となる.そこで,本研究では段波波力の低減を目的として,防潮壁前面に設置する突起対策工を提案し,同対策工による低減効果を水理模型実験および三次元数値解析により検証した.突起対策工の設置により,打上り水塊が着水時に分散することで,段波波力を低減できることが確認された.ただし,津波波形や対策工の長さによって対策工の波力低減効果に違いが見られたため,対策工の長さ等の形状や寸法は,津波波形や打上りの規模に応じて適切に設定する必要があることが分かった.

  • 崎元 和樹, 毛利 惇士, 菅沼 亮輔, 迫田 由華, 菊池 喜昭, 野田 翔兵, 及川 森
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_192-I_197
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/28
    ジャーナル 認証あり

     防波堤の耐津波性能の向上を目的として,杭と中詰土によって補強を行う鋼杭補強防波堤工法が提案されている.本研究では,模型気中水平載荷実験を実施し,補強に用いる杭の根入れ長さの違いによって,杭の挙動にどのような影響が生じるか検討した.その結果,根入れ長さの違いによって,ケーソンの補強効果が異なることが分かった.また,根入れ長さの違いは,杭のそのものの挙動の違いに影響を及ぼし,最大曲げモーメントの大きさが根入れ長さの影響を受けることが分かった.杭の下端まで曲げモーメントが生じるような根入れが不十分な場合でも,想定する荷重によっては根入れの十分なものと同程度の補強効果が得られることが分かった.

  • 五十嵐 雄介, 神保 正暢, 金子 拓史, 矢神 卓也, 田島 芳満
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_198-I_203
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/28
    ジャーナル 認証あり

     本研究では,越波量・うちあげ高の沿岸分布を街区単位の精度で予報できるシステムの構築を目指した検討を行った.まず,モデル地区である駿河海岸の潮位,波浪観測データを一定の精度で再現できる波浪・高潮推算モデルを構築した.次に,この推算モデルによる推算結果を短時間で,かつ高精度に再現できるDNNを構築した.そして,DNNによる出力結果と推算潮位から,IFORMにより越波量・うちあげ高を算定するシステムを構築した.このシステムを用いて,駿河海岸令和元年台風19号に適用し,妥当性を検証した.結果,潮位偏差,波浪,現地の越波の概況を再現できた.

  • 園田 彩乃, 宇都宮 好博, 松藤 絵理子, 鈴木 隆宏, 内田 洋平, 鈴木 善光, 内田 裕之
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_204-I_209
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/28
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     近年,強大な台風が毎年日本に襲来し,それに伴って高潮による甚大な被害が増えている.こうした状況を受けて高潮防災の重要性が社会的に認識されてきたため,高潮予報の需要が高まりつつある.本研究では,台風進路の僅かな違いにより大きく変化する高潮に対し,アンサンブル気象予報を用いて不確実性を考慮した高潮予測の試計算を行った.加えて,高潮予報を30分以内に完了させることを目標とし,運用に向けた課題等について検討を行った.その結果,高潮は3分程度で計算できることから,その他の工程を考慮しても目標は実現可能であることがわかった.また,アンサンブル予報を用いることで最大潮位偏差を台風最接近の3日前に予測可能となった.一方で,風場の作成や潮位の再現性については検討の余地があり,今後も改良を続けていく予定である.

  • Mangala AMUNUGAMA, Katsuyuki SUZUYAMA, Chathura MANAWASEKARA, Yoji TAN ...
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_210-I_215
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/28
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     Typhoon-induced wave overtopping is a combined result of astronomic tide, storm surge and wave runup. However, in present practice the cause and the extent of damage due to typhoon is investigated using storm surge simulation models and wave simulation models independently where there is no consideration of tide-wave interaction. Hence, the application of a coupled model is expected in future practice to obtain more realistic results and thereby to determine the exact cause and the extent of damage. In addition, it is important to increase the spatio-temporal resolution of input forcing to accurately reproduce the typhoon phenomenon. Hence, the objective of this study is to analyze the typhoon-induced storm surge with COAWST (Coupled-Ocean-Atmosphere-Wave-Sediment Transport) modeling system which is forced by three different types of modelled forcing with three different spatio-temporal resolutions.

     The COAWST model with ROMS (Regional Ocean Modeling System) as the ocean model and SWAN (Simulating Waves in Nearshore) as the wave model was used to analyze the typhoon-induced storm surge due to a number of strong typhoons struck Japan in the recent past. WRF (Weather Research and Forecasting) model was used independently as the atmospheric model. Computed model results were compared with the tidal observational data and wave observational data with respect to each forcing. Thereby, the significance of sptio-temporal resolution of forcing on model results were discussed at the end of this study. COAWST model could well reproduce the typhoon phenomenon and model results were consistent while the results were highly sensitive to the spaio-temporal resolutions of input forcing.

  • 松尾 俊平, 河合 弘泰, 岩本 匠夢
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_216-I_221
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/28
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     沖縄本島沿岸を対象に海洋・波浪結合モデルを用いて波浪と高潮を推算し,高波と高潮の同時生起性と継続時間を検討した.太平洋側では高波と高潮のピークが同時生起することもあるが,東シナ海側では高潮のピークの後に高波のピークが出現する傾向にある.那覇では,ピーク時間差を台風経路によって分類でき,高波と高潮は台風通過後の吹き返しによって生じやすい.高波の継続時間は,東京湾沿岸より長く,沖縄本島沿岸の中でも陸による遮蔽の小さな地点で特に長い.その一因として台風による遠方からのうねりがある.高潮の継続時間は,高波ほど地点による差はない.吸い上げ,吹き寄せ,wave setupの寄与が地点によって異なり,そのことが高潮の継続時間にも影響している.

  • 二村 昌樹, 川崎 浩司, 村上 智一, 下川 信也, 飯塚 聡, 西田 修三
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_222-I_227
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/28
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     建物が密集する都市部において,建物が高潮の浸水過程に与える影響は大きい.本研究では,建物の形状および配置を考慮した格子幅2mの高潮浸水解析モデルを構築し,可能最大級の高潮による3次元高潮浸水解析を実施した.その結果,堤内地に侵入した高潮は建物の影響を強く受け,特に建物の間の細い道路で流速の速い流れが生じることがわかった.また,防潮扉の開放/閉鎖条件が流速の空間分布に大きく影響するという知見が得られた.建物の形状および配置を考慮することで,局所的な危険箇所を表現できるため,ハザードマップや避難計画の検討に有用な情報といえる.

  • 長谷部 雅伸, 今津 雄吾, 本島 禎二, 高倉 岳夫, 西澤 亮総, 田中 友博
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_228-I_233
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/28
    ジャーナル 認証あり

     福島天然ガス発電所のマルチノズル放水口の洗掘防止範囲について数値解析を活用した合理的な検討を行った.エネルギー平衡方程式による数値解析を行ったところ,放水口設置地点では北東~東北東より到来する波浪が卓越し,その有義波高は約3.9mであった.さらに放水口まわりについて三次元VOF法による流れ場の詳細解析を行ったところ,放水口周辺では回り込むような流れ場が形成されることで波向と直交する部分の流速が増大することが示された.また,放水流は海底付近の流速を顕著に増大させることもわかった.さらに放水口周辺の底質の移動形態を水理学的に評価したところ,海底流速の大きさが1.0m/s以上で掃流・浮遊混在領域となったことから,この値を超える海底流速となる部分を包含するよう,洗掘防止範囲を決定した.

  • Nguyen Quang DUC ANH , 田中 仁, Nguyen Trung VIET , Tran Thanh TUNG , Ngu ...
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_234-I_239
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/28
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     アンズー河口はベトナム中部ビンディン省に位置している.同河口においては北に向かう砂嘴の成長が著しい.このため,河口の浅化が河口内を港として利用する船舶にとって大きな障害となっている.しかし,当地では現地データの蓄積が乏しく,砂嘴成長の機構の把握や対策検討がなされていなかった.本研究においては,1988年以降に撮影された衛星画像をもとにアンズー河口砂嘴の変動に関する定量的な検討を行った.その結果,砂嘴は北に向かって平均的に140m/年の速度で延伸していることが分かった.これに伴い,対岸の砂嘴もほぼ同じ速度で後退している.この砂嘴移動速度に漂砂の移動高さを乗じることにより推定される沿岸漂砂量は,別途,実施された数値シミュレーションにより評価された沿岸漂砂量と良好な一致を示した.

  • 横田 拓也, 宇多 高明, 小林 昭男, 星上 幸良, 勝木 厚成, 野志 保仁
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_240-I_245
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/28
    ジャーナル 認証あり

     遠州灘に面した浜松篠原海岸に形成されている砂丘群の地形特性を現地観測により調べた.その上で,波による漂砂と飛砂を同時に考慮した地形変化予測モデルを用いて砂丘群形成の再現計算を行った.現地調査では,海浜背後において砂嘴と類似した形状の砂丘がリズミックに形成されており,また,砂丘幅が狭い場所では背後地までの波の遡上,ないし飛沫の飛散により保安林の松枯れが起きていることが明らかにされた.砂丘群の再現計算では,海岸線とほぼ平行に近い角度で風が吹き込む条件で砂丘群の発達が起こることが分かった.

  • 西村 亜子, 小林 昭男, 宇多 高明, 野志 保仁
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_246-I_251
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/28
    ジャーナル 認証あり

     前浜に岩盤またはbeach rockなど不透過の物体が埋まっている場合,波の遡上時の戻り流れおよび浸透流が変化し,前浜の堆積侵食状況に変化が現れる可能性がある.本研究では,礫浜下に岩盤がある状況を想定し,岩盤上の礫層厚と岩盤の先端位置を変化させたときの前浜の侵食堆積機構を2次元移動床模型実験により調べた.礫層厚と岩盤の先端位置を全体で25通り変えた実験により,前浜の堆積侵食の判定に係る礫層厚の閾値を明らかにした.

  • 高橋 紘一朗, 岩田 泰宏, 芹澤 秀太, 半澤 亮佑, 小林 昭男, 宇多 高明, 野志 保仁
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_252-I_257
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/28
    ジャーナル 認証あり

     相模湾に面し,冬季に強い西寄りの風を受ける大磯北浜海岸を対象として,海岸堤防の海側に設置された複数の堆砂垣周辺での飛砂の堆砂状況を現地実測により調べた.当地では,海岸堤防への法線方向に対し風下側に40°傾いた堆砂垣(17基)が,風下方向へと徐々にその長さを増しつつ伸ばされていた.観測によれば,各堆砂垣とも西寄りの風の作用により堆砂垣の風上側で最大約0.85mの高さで堆砂が起きたが,堆砂垣と堤防の間の開口部を風が抜けるために陸側にその高さが急激に低減する形状の砂マウンドが形成された.また,最も風下の堆砂垣ではその天端まで堆積が起きていた.

  • 梅田 天斗, 宇多 高明, 小林 昭男, 野志 保仁
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_258-I_263
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/28
    ジャーナル 認証あり

     波の入射方向が季節的に変動する海岸に護岸(緩傾斜護岸)が造られた場合起こる護岸周辺での地形変化に着目し,まず九十九里浜に位置する堀川浜と新島の羽伏浦海岸を対象に実態を明らかにし,次にBGモデル(Bagnold概念に基づく3次元海浜変形予測モデル)を用いて波向変動場における護岸周辺の地形変化解析を行った.この結果,護岸によりその背後は防護されるものの,その両側で浜崖侵食が進むこと,また浜崖侵食により供給された砂は護岸沖へと運ばれることが明らかになった.長い直線状海岸のある部分にのみ護岸を造ることは沖向き漂砂を助長するのでできるだけ避ける必要がある.

  • 辻本 剛三, 升谷 武尊
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_264-I_269
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/28
    ジャーナル 認証あり

     沖縄の34箇所の海岸において,底質採取と前浜勾配の計測を行った.底質の組成成分はサンゴ,有孔虫,貝殻片,鉱物,ウニ棘に分類し,底質特性として粒径,円形度,色彩の明度,彩度,色相を画像より求めた.明度,彩度の分布幅には広がりが見られ,粒径の減少に伴い円形度が増大する鉱物由来の砂浜と同じ傾向であった.底質組成の割合にエントロピー法を適用して海浜を6グループに分類し,組成や地理的位置から各グループを特徴付けた.リーフ間距離と底質の組成割合,中央粒径とに相関が見られた.平面形状は通常の砂浜と同様に相似形であるが,断面形状では粒径と底面勾配のべき乗則の関係において,勾配変化は緩やかであった.また,円形度,明度,彩度で組成の分類が可能である.

  • 宇多 高明, 真栄里 嘉孝, 照屋 寛之, 古波蔵 健, 五十嵐 竜行
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_270-I_275
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/28
    ジャーナル 認証あり

     沖縄北谷町では,両端を突堤に挟まれた長さ630mの人工海浜が造られた.養浜後,この海浜では斜め入射波の作用により著しい海浜変形が起きた.リーフの掘削により人工海浜の前面には深い溝が南北方向に伸びていたが,人工海浜の北部沖には浅いリーフが残されていた.このためそれによる波の遮蔽が起き,波の遮蔽域外の南部海浜から遮蔽域内の北部海浜へと向かう北向きの沿岸漂砂が生じ,これにより南部では汀線が後退し,北部では前進することになった.このように変形の著しいアラハビーチに関し,新たに深浅測量を行い,既往データと合わせて海浜変形機構を解析した.

  • 房﨑 真人, 宇多 高明, 大木 康弘, 足利 由紀子, 山守 巧
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_276-I_281
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/28
    ジャーナル 認証あり

     中津干潟に流入する舞手川の河口では,2019年3月までに長さ54mの河口導流堤が延ばされた.河口導流堤の建設後,様々なモニタリング調査が行われた.2019年9月18日のドローン画像によれば,この河口導流堤は河口流路の固定化,河口砂州の形成抑制,河口左岸の砂丘地の侵食防止,河口導流堤の西側隣接部でのカブトガニ産卵のための砂州形成などに役立ったことが分かった.河口導流堤の延伸後,河口の西側に隣接する砂丘地の侵食が止まっただけでなく,砂丘地前面の砂浜が大きく広がった.また,河口左岸沖に粗砂が堆積して砂州が形成され,それがカブトガニの産卵地となったことが分かった.

  • 大塚 友樹, 小嶋 崇央, 宇多 高明, 大木 康弘
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_282-I_287
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/28
    ジャーナル 認証あり

     茨城県北部,常陸那珂港の北35kmに位置する高萩市赤浜海岸では,2019年10月12日に日本列島を襲った台風19号時の高波浪の作用により,海岸堤防の表のり面を防護していたのり枠式護岸が長さ120mにわたって壊れた.本研究では,台風後の2019年10月27日に被災箇所の現地調査を行い,護岸の被災状況を明らかにするとともに被災原因について調べた.この結果,護岸の被災原因は,護岸前面の砂浜が急激な侵食により消失し,これに伴って護岸の裏込め土砂が吸い出され,のり面の破壊に至ったことが分かった.

  • 宇多 高明, 大谷 靖郎, 大木 康弘, 横田 拓也
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_288-I_293
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/28
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     九十九里浜南部に位置する一松海岸では,侵食対策として大型フトン篭製の護岸が設置されてきたが,この護岸は高波の作用を受けるたびに破壊され,そのたびに復旧が行われてきた.しかし復旧された護岸は2019年秋季の波浪により再び破壊された.護岸の破壊状況を調べたところ,大型フトン篭では篭の中に石を詰めて護岸とされているため,個々の中詰め石にかかる波力により鉄線篭が破れ,中詰め石の散乱を招いたことが分かった.一方,鉄線篭から流出した中詰めの礫は1/2の急勾配をなして海岸線付近に安定的に堆積し,あたかも礫養浜と同様な効果が得られた.これらより一松海岸での今後の対策としては大型フトン篭に代わり,礫養浜が望ましいことが分かった.

  • 金子 有理, 西 隆一郎, 鶴成 悦久
    2020 年 76 巻 2 号 p. I_294-I_299
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/28
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     海岸侵食抑制のためには,河口,湖口(インレット),漁港,港湾,そして,突堤周辺における砂のバイパス現象の解明が必要である.漂砂下手側の海岸侵食を低減するため,人工構造物を使い沿岸漂砂の上手から下手側に強制的に砂を迂回させるサンドバイパス工法が用いられる場合がある.宮崎海岸では大規模な海岸侵食が進行しており,海岸保全構造物の設置と養浜が継続的に行われている.しかし,現在でも年間20万から30万m3の土砂が宮崎港側に流出している.一方,沿岸漂砂上手側の一ツ瀬川河口には,砕波帯を超える長さの導流堤(築造時)が設置され,導流堤建設前に生じていた砂のバイパス量と比べて十分なバイパス量が確保されていない可能性がある.そこで,本研究では,海岸侵食に悩む宮崎海岸の中・長期的な海岸保全を検討するために,宮崎海岸北端に位置し河口部に導流堤が築造されている一ツ瀬川河口部付近における砂のバイパス現象の解明と,漂砂下手側海浜の海岸保全に関し,現地調査ならびに空撮画像や数値モデルに基づき考察を行うことにした.

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