2020 年 76 巻 2 号 p. I_618-I_623
セメントや石灰を使用した固化処理工法は盛んに行われているが,海水環境下においては改良土からカルシウムが溶出して強度が著しく低下(劣化)する.これに対して微生物機能を介して固化成分を析出させるMICPを応用した劣化抑制技術が提案されているものの,MICPに関する研究は砂を対象としたものが大半であり,また粘性土を主体とした改良土は劣化の進行が著しいため,提案技術の適用性に関する検討が必要である.本研究では粘性土を主体とした供試体を作製して室内及び実環境において海水曝露試験を実施した.その結果,提案技術を粘性土に適用することで 1) 溶出したカルシウムイオンが再固定されること,2 )劣化に伴う間隙を結晶が充填すること,3) 粘性土を主体とした改良土に対しても劣化抑制技術が適用可能であること,4) 海水環境下において改良土の強度を長期的に保存する可能性,が示された.