2020 年 76 巻 2 号 p. I_780-I_785
湖沼や沿岸域において水温や塩分の違いにより生じる密度成層場において,風などの外力の作用により内部ソリトン波が発生する.内部ソリトン波が斜面上で砕波すると内部波の水深積分ポテンシャルエネルギー(以下Ep)はほぼ失われる.過去の研究より東京湾において強風イベントが発生すると,斜面上での低酸素状態が回復することが知られている.しかし,Epの消失が考慮されておらず,実現象と比較して過大なEp下において解析を行っていると考えられるため,本研究では内部ソリトン波が斜面上で砕波する際のエネルギー損失のモデル化を試みた.その結果,摩擦損失型のエネルギー損失を考慮することで,静水圧条件において,内部ソリトン波のエネルギー損失の再現が可能であることがわかり,東京湾においても同様のモデルを適用できる可能性が示された.