2022 年 78 巻 2 号 p. I_601-I_606
海水に曝露されたセメント処理土は,海水に含まれるMg塩によってCaが溶出し,土質特性が変化することが指摘されている.本研究では,Mg水溶液への浸漬によって劣化させた固化材添加量と養生時間が異なるセメント処理土に対して一軸圧縮試験と含有量分析を実施し,強度特性の変化とそのメカニズムについて考察した.その結果,初期条件によらず浸漬後のセメント処理土の強度は著しく低下することが示された.また,その強度は添加した固化材量や養生時間によって異なり,浸漬前の強度が高いときほど劣化後の強度も大きくなることが明らかになった.この強度低下現象は,主要なセメント水和物であるケイ酸カルシウム水和物(C-S-H)が比較的結合力の小さいケイ酸マグネシウム水和物(M-S-H)に転移することによって生じたものと推定された.