2013 年 69 巻 3 号 p. I_215-I_219
九州地方には活発な火山活動の歴史があり,地形や地質が複雑で,黒ぼくや赤ぼくなど多量の有機物を含む火山灰由来の土壌が広く分布している.また,河川流域には多くの沖積平野が存在し,有明粘土などの厚い軟弱地盤が形成されるなど,九州各地にはさまざまな軟弱土が存在する.そのため,現場で路床や基礎地盤を構築する際には,土質の良否の判断や,適切な安定処理方法の設定が重要となる.本報告では,当試験所に長年蓄積されてきた九州各地からの依頼試験に基づくデータを整理して,さまざまな土質に適した安定処理材の選定の考え方や,所要量の目安について明らかにするとともに,セメント系安定材を用いる場合に必要となる六価クロム溶出規制対応等から,望ましいと考える安定処理について述べたものである.