2023 年 78 巻 2 号 p. I_31-I_40
近年廃棄プラスチックの増加および流出に伴う環境汚染が社会問題となっており,その有効なリサイクル手法のひとつとしてアスファルト舗装への適用が注目されている.本検討では主要廃プラの一つであるものの,極めて高い融点と低いアスファルト親和性によりアスファルト舗装への適用方法が限られていたポリエチレンテレフタレート(PET)に着目し,アスファルト改質材として廃PETをアップサイクルする検討に着手した.検討の結果,廃PETを特定のアルコールおよびカルボン酸と化学反応させて分子構造を最適化することで,作業温度で速やかに溶融しつつ良好なアスファルト親和性を有するポリエステル系改質材を開発した.本改質材を適用した混合物では耐水性・耐油性・耐流動性等の向上が確認され,従来の廃PET適用手法に対して優れた性能を付与できることが示唆されたものの,実用化には新たなる評価法の開発などの課題が明確となった.