抄録
住民の適切な洪水リスク特性の理解のためには,浸水想定区域図を単に提示する従来の洪水ハザードマップでは不十分であるばかりか,幾つかの問題点が指摘されていた.これらの問題点の克服を念頭に,概略表記型洪水ハザードマップという理念が提唱されている.しかし,この概略表記型洪水ハザードマップにおいても,より複雑な洪水リスク特性の表現が困難であること,作成者の主観や能力に依存した作業が多くを占め,作成者が異なればマップもまた異なってしまうこと,などの点が実務上無視し得ない課題として考えられる.本研究では,これらの課題の克服を念頭においた作成手法として,洪水リスク統括マップ(気づきマップ)を提案するとともに,その半自動化作成手法について検討を行うものである.