抄録
筆者らは,高速道路の防災や災害時の事業継続計画を策定する観点から,豪雨時の重点点検個所のスクリーニングを行う手法について検討を進めてきた.この過程で,豪雨時に注目すべき個所を効率的に抽出するためには,雨水の集水状況を可視化することが重要であるとの認識に至った.しかし,従来の集水面積解析は,高速道路沿いの斜面やトンネル坑口付近のように集水度が低く,また集水面積も比較的小さい領域に対しては,大流量の流路のみが強調され,豪雨時の集水の様子を調べるには適していない.そこで,数値標高モデル上に均等に雨滴を配置し,この流れを追跡していくことで流線を描き,豪雨時の流路全体を可視化する方法を考案した.これにより,豪雨時の集水が高速道路に影響を及ぼす箇所を特定することができた.