2018 年 74 巻 1 号 p. 1-10
道路構造物を適切に維持管理するためには,日常および定期の点検データの収集と蓄積が必要であるが,データが紙媒体に蓄積され,事務所で計画を議論する道路管理者と点検現場の点検者との間の意思共有が困難になることがある.そこで,本研究では,道路管理者と点検者の意思共有および道路点検結果の蓄積を図るために,管理者が使い慣れた従来の2次元紙地図と3次元プリンタによって出力する3次元プリンタモデルとを議論の場で活用し,タブレット端末で撮影した写真とRFIDによって現場と情報共有するシステムを開発した.実現場でシステム評価実験を行い,その結果を基に,KJ法による分析を行った.分析結果より,紙地図と3次元プリンタモデルを点検に関する議論で活用することについて操作性と有用性の面での利点と課題を明らかにした.