2009 年 65 巻 1 号 p. 149-155
地震時斜面のすべり量を評価する従来のNewmark法は,1)すべり面形状を直線又は円弧と仮定する,2)地震前のすべり面を一つに特定してそれに沿う永久変位量のみを見積もる,3)地震中の限界震度を一定とする,など様々な問題点を有している.著者らはこれらの問題点を克服するため,FEMによる地震応答解析,FEM応力場における臨界すべり面探索法,およびNewmark永久変位の概念を結合して,地震時斜面のすべり量を予測する新しい方法を開発した.本稿は,弱面を有する盛土斜面および過去の地震による造成盛土斜面の被害事例に本提案法を適用し,非線形FEMによる変位量との比較検討を行い,その妥当性と有用性を検証したものである.