2009 年 65 巻 1 号 p. 680-687
構造物の地震損傷度診断を目的として,加速度データのみから構造物の復元力特性を計測する方法を提案した.この方法は,時刻同期をとった加速度計の時刻歴データから計算される変位を使うものである.実構造物に計測システムを設置し約3年の観測を行ったところ,計測された加速度から復元力特性が計測できることが確認された.多質点系モデルを使った数値実験により,提案した復元力特性の計測方法によって,非線形の復元力特性が計測可能であることを示し,さらに損傷判定に必要な加速度計の設置条件を検討した.多質点系モデルの各質点に加速度計を設置せずとも,1質点おきに設置することで,非線形の復元力特性が計測できることが示唆された.