2009 年 65 巻 1 号 p. 705-709
一般的な構造物の被害の即時的な把握法では,ネットワーク化された高精度の地震計で観測された地震動波形に基づき,対象とする構造物地点での地震動強度を推定し,被害程度を評価する.本研究では,通常の地震計に比べると精度は劣るが安価な小型センサーを構造物に設置し,センサー単体で構造物で実際に観測された地震動を利用して被害推定を行う手法を提案する.提案する手法で用いる小型センサーには対象の構造物のモデル特性を組み込んでおき,センサー内でほぼリアルタイムに応答解析を行った結果に基づいて被害程度を表示する.このようなセンサーは,用途が単純で対象とする地震動レベルも制限できるため,きわめて安価で容易に製作することができる.