2009 年 65 巻 1 号 p. 776-788
最大フローを指標としたライフラインの地震時ネットワーク機能評価において,要素破壊の相関性が及ぼす影響について考察した.まず相関を有する複数事象の結合事象の生起確率の数値積分法と効率的シミュレーション法について概説し,3種類の代表的ネットワークの最大フローの確率分布や各種評価指標に及ぼす相関の影響について考察した.さらに仮想ネットワークを対象として,想定地震のもとで,地震荷重および要素の耐力の相関評価からネットワーク機能評価に至る一連の流れを示し,シミュレーション法と数値積分法による評価結果に基づいて考察した.最大フローの確率分布は相関係数の増大とともに広がる傾向にあり,無相関とした場合にはシステム信頼度を過大·過小に評価する可能性があることを示した.