抄録
本論文では,地表地震断層による地表面のずれ変位の予測を念頭に,土槽を用いたモデル実験および実在する断層の再現シミュレーションを通して,非線形スペクトル確率有限要素法の妥当性と有効性を検証する.再現シミュレーションでは,土槽や未固結層の確率モデルを構築し破壊過程を解析する.シミュレーションで得られた結果は,モデル実験の断層や実在する地表地震断層の幾何形状や位置といった実測値と最大20%程度の誤差で一致している.地表地震断層が出現する確率を基盤断層変位の関数として表すことで,基盤断層変位のシナリオに応じて地表地震断層の形成の可能性を評価する方法を提示した.