2012 年 68 巻 1 号 p. 63-72
地震時における迅速な被害の把握は,災害被害軽減の観点から極めて重要である.それにあたっては,信頼性が高くかつ簡易な被害の指標が有用であるが,個別の構造物の応答,特に性能と関連が深い変位を簡易に計測し,耐震性能を評価することは困難であった.一方,近年のセンサ技術の進展は目覚しく,安価で信頼性の高い加速度センサが開発されている.そこで,本研究では,不規則振動理論を援用して,地震時に損傷を受け,非弾性挙動を示す構造物の最大変位応答を,加速度応答記録のみから推定する手法を構築し,数値計算および振動台実験結果によって検証を行った.