2012 年 68 巻 2 号 p. 325-330
社会基盤の高経年化を背景として,蓄積されてきた膨大な既存ストックのマネジメントが課題となっている.しかし,現状では,検査や補修の長期時系列データが完備された形で整備されるには至っておらず,維持管理,特に予防保全効果の評価は,仮定に基づく予測に大きく依存せざるを得ない.本研究では,文献5)で提案した,データ制約の下でもマクロ挙動を再現可能なストックマネジメントの線形制御システムモデルに,予防保全の効果を取り入れて一般化すると共に,鋼橋の腐食を例として,予防保全と事後保全の効果とその最適化について論じた.