2012 年 68 巻 4 号 p. I_104-I_110
河川堤防は材料が土であり,基礎である地盤と連続的な構造物となっているため,その耐震性を評価する際には,過剰間隙水圧の影響を考慮する必要がある.本論では,東北地方太平洋沖地震の際に河川堤防で観測された強震記録を用いて河川堤防の地震応答解析(等価線形解析及び有効応力解析)を実施し,その加速度応答と過剰間隙水圧の再現性を検討した.その結果、等価線形解析、有効応力解析ともに概ね応答波形を再現できているが、等価線形解析では短周期成分の再現が不十分であったため周波数依存度を考慮した解析を行うことで改善がみられた.有効応力解析では過剰間隙水圧の消散の再現性に課題が残った.