抄録
東北地方太平洋沖地震における津波被害は甚大ではあったが,震動に伴う鉄道構造物への被害は限定的であった.この要因を詳細に分析するための基礎的な検討として,東北地方太平洋沖地震と2003年5月に発生した三陸南地震という2つの大規模な地震を対象として,鉄道構造物位置の地震動を推定した.そして各地点の地震動特性と高架橋被害との関係性,ならびに両地震の大小関係と被害の大小関係について考察を行った.その結果,今回対象とした2つの地震の地震規模は大きく異なるものの,鉄道構造物の応答という観点からはそれほど大きな相違が無いことが明らかになった.また東北地方太平洋沖地震で高架橋に比較的大きな損傷が発生した箇所では,本地震の方が三陸南地震よりも構造物の応答が1.1~1.5倍程度大きな値を示していたことも分かった.