2012 年 68 巻 4 号 p. I_268-I_273
2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震では,震源域から離れた東京湾岸域でも大規模な液状化が発生した.液状化は,各種地下埋設管や道路・港湾施設等に大きな影響を及ぼすので,事前・事後において液状化の有無や程度を適切に推定することは,防災上極めて有用である.東京ガスでは,都市ガス供給の安全性を確保するため,地震防災システム「SUPREME」を構築し運用してきた.大震災発生直後においても,約4000点の地震計から観測情報を収集し,SI値分布推定,液状化推定,被害推定を行い,災害対応における判断に活用した.本論では,液状化推定の精度向上のため,千葉市湾岸エリアを対象として,液状化推定結果が実際の液状化域とよく対応していることを示し,継続時間の長さが液状化に影響したこと,千葉市美浜区と中央区での液状化程度の差は地盤条件が強く影響したこと等を示した.