抄録
地すべり地の地震時挙動を考えるとき,地すべり土塊の3次元形状と地震応答特性を評価することが重要である.本研究は,それらの評価を微小地震観測により行うことが有効であることを例示する.我が国でも活動度の高い高知県の長者地すべり地で微動観測を行い,昼夜の別なく振動レベルが低く,はじめに通常の微動計では測定不可能なほどであることを示す.低レベル微動環境は微小地震観測にとっては好都合である.2日間の微小地震観測で3地震が観測でき,地震応答特性が評価できること,また,卓越振動数が特定できることを示す.卓越振動数と別途行った表面波探査によって得られた表層の平均せん断速度から4分の1波長則で得られた地すべり面深さは,既知のものと15%程度の誤差で一致した.