2012 年 68 巻 4 号 p. I_418-I_422
電車線柱は,高架橋の大規模地震に対する応答値を与条件として設計されている.高架橋の耐震設計は,大規模な地震においては塑性化を許容し,塑性後のじん性で安全性を確保するような設計体系である.また,高架橋は塑性化すると振動周期が長周期化する傾向にある.一方,電車線柱と高架橋が共振すると電車線柱の応答は著しく大きくなるため,大規模地震で長周期化した高架橋の応答値を用いた現設計では,電車線柱にとって安全側とは言い難い.そこで本研究では,地震動の特性や入力レベルが高架橋と電車線柱の振動特性にどのような影響を与えるか検討を行った.その結果,中小規模の地震においても,電車線柱の応答が大規模地震よりも大きくなる可能性がある事が明らかになった.