2012 年 68 巻 4 号 p. I_642-I_651
近年,地中構造物を対象として,地盤と構造物の連成効果を考慮した高度な解析技術により,ひび割れや鉄筋の降伏以降の構造物の挙動を適切に評価することが求められている.しかし,地盤の非線形挙動ばかりでなく,構造物が非線形化するまでを対象とした基礎的な実験データは少ないのが現状である.そこで,RC杭基礎を対象とした遠心力模型振動実験を実施し,杭主筋が降伏に至るまでのデータを取得した.実験は地盤条件をパラメータとし,乾燥地盤と飽和地盤における杭基礎の地震時挙動の違いを比較した.また,飽和地盤を対象とした動的有効応力解析を実施し,RC杭の応答の再現性について実験結果と比較した.その結果,地盤の液状化と地盤―構造物の連成効果を考慮することで,RC杭の非線形応答を適切に評価できることがわかった.