抄録
平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震では地表面の最大加速度が約27m/s2の非常に大きな地震動を観測したほか,各地で継続時間が非常に長い地震動が観測された.本研究ではこのような特性の地震動が構造物の地震応答特性に及ぼす影響を明らかにするため,1自由度振動系に対して,非線形時刻歴応答解析を行い,最大応答塑性率,履歴吸収エネルギー,残留変位等の観点から非線形スペクトルの考察を行った.その結果,今回の地震動では0.5秒以下の短周期において大きな応答加速度を示すものの,一般的な橋梁に影響を及ぼす周期帯では,兵庫県南部地震での観測記録や道路橋の耐震設計で一般に用いられている地震波と同程度もしくはそれ以下の応答となること等が分かった.