2013 年 69 巻 1 号 p. 20-25
鋼橋の疲労損傷事例として板曲げにより面外ガセット継手に生じる疲労き裂があるが,そのき裂の表面長さに対するき裂進展解析の精度は必ずしも明らかになっていない.本研究では,著者が実施した板曲げを受ける面外ガセット継手の疲労実験の進展解析を実施し,き裂深さと表面長さの精度を検証した.その結果,き裂深さは良く評価可能であるが,表面長さは回し溶接部長さ程度以上になると過小評価することが明らかとなった.そこで,実験に基づき得られたき裂形状比を進展解析に適用し,回し溶接部長さ程度以上の表面長さの簡易な推定を試みた.既往の研究で提案されたき裂形状比を著者の実験結果を反映させて一部修正し適用することで,回し溶接部長さ程度以上の表面長さを良く評価可能であることを確認した.