抄録
本研究は地震災害による企業への影響を予測する手法として,企業の操業能力を対象とした機能的フラジリティ曲線を提案する.これは地震動に対する構造物の脆弱性を対象として発展してきたフラジリティ曲線を,企業の操業という機能に対して応用したものである.新潟県中越地震後に行った企業の被害についての調査データをもとに機能的フラジリティ曲線を推計する.その結果を業種間で比較し,企業の有する生産技術や設備の脆弱性の特徴について考察する.これは災害直後に地域の産業分布の特徴を考慮した経済影響評価を行う上で不可欠な基本情報となる.また,各個別企業にとっても,地震災害による企業活動への影響を事前に把握し,事業継続計画(BCP)を策定するための有用な情報となる.