2014 年 70 巻 2 号 p. 161-175
構造物の耐震設計基準では,地震動特性は標準的な設計加速度応答スペクトルが与えられている場合が多い.動的解析法に必要な時刻歴波形は,設計応答スペクトルに適合することが要求されるが,従来は弾性応答スペクトルに適合するように作成される.しかし,L2地震を対象とした耐震設計体系下では,このような適合波形で照査すると,構造物の非線形応答特性を的確に評価できない.そこで,本研究では,複数の非線形応答スペクトルに適合する地震波形を決定する方法を開発する.本方法は,等価線形化法を用い,目標スペクトルへの適合方法として,原波形に時間と振幅調整をしたRickerウェーブレットを重ね合わせ,このウェーブレットの振幅を調整することにより,任意の塑性率に対応した非線形応答スペクトル群に適合した模擬波形を作成するものである.