2014 年 70 巻 2 号 p. 227-237
3次元非線形有限要素解析を用いた輪荷重走行試験の再現解析を通して,ロビンソン型合成床版の実供用下での破壊過程の推定を行った.はじめに,既往の輪荷重走行試験を再現するための感度解析を行い,鋼・コンクリート境界面の初期付着力の値を定めた.次に,このモデルで得られたコンクリートおよび鋼材のひずみの推移を詳細に調べ,破壊過程の分析を行った.特に,コンクリート内部の水平ひび割れに着目し,その発生と進展過程を示した.最後に,静的解析を実施し,輪荷重走行試験の再現解析で得た挙動との比較を行ったところ,静的載荷による破壊過程は,移動荷重下とは異なる結果となった.以上より,合成床版の耐疲労性能評価を行う際には破壊モードの推定が重要であり,破壊モードに応じた限界状態と管理水準の設定が必要であることを示した.