2014 年 70 巻 2 号 p. 238-251
実務における免震構造物の動的解析では,高精度で利用しやすい免震デバイスの力学モデルが必要とされている.本研究では,バイリニアモデルを拡張し,免震用積層ゴム支承が大変位時に示すハードニングや最大経験ひずみ依存性を精度よくかつ簡易にモデル化する手法を提案する.まず,ハードニングについては,バイリニアモデルを完全弾塑性バネと弾性バネに分離し,それぞれにせん断ひずみの関数を乗じることで再現する.次に最大変形量依存性については,ゴムの準弾性構成モデルを1次元に縮退して弾性バネに導入する.最後に,免震橋梁を簡易的に表す2質点系モデルを用いて,提案した復元力モデルの地震応答解析を実施し,大地震時においてハードニングおよび最大経験ひずみ依存性は最大応答の予測に有意な影響を及ぼすことを示す.