2014 年 70 巻 3 号 p. 435-443
本研究では,実在の歩道橋(支間長は約33mで有効幅員は1.5m)を対象として,中央点での静止者数を一人ずつ順番に増加させた状態(立位の状態)で歩道橋を人力加振し,得られた減衰自由振動波形から,歩道橋の振動特性とりわけ構造減衰に及ぼす静止者の影響について検討を加えた.その結果,幾分のバラツキは認められたが,静止者数が増加するにつれて,構造対数減衰率δが明らかに増大する結果が得られた.また,ISO5982:1981の立位用2自由度系モデルを用いた複素固有値解析結果との対比を行ったところ,構造対数減衰率の実測値と解析値は比較的良く一致することもわかった.なお,静止者がしゃがんだ場合には,減衰自由振動波形に明確なうなりが観測され,さらに大きな減衰付加効果が認められた.