2016 年 72 巻 1 号 p. 176-191
本研究では,同一設計・同時製作16体のRC柱供試体の一斉加振実験を行うことにより,動的応答の不確定性を評価することを目的としている.定量的評価の前提となる供試体における不確定性を整理するとともに,実験において供試体に入力された地震動の不確定性を評価した.次に,非線形応答加振における供試体の地震応答・破壊特性や16体の供試体の挙動のばらつきに関して考察し,平均・標準偏差・変動係数,そして分布形状について評価した.また,特に耐震設計において重要な指標となる最大応答・残留変形・減衰特性について,それらを定量的に評価し,骨格曲線上を移動する最大応答値は,非線形応答であっても,そのばらつきは大きくないこと,また減衰特性は線形応答時に5%程度であるものの,そのばらつきは大きいこと,などを明らかにした.