抄録
現在でも,全国に無筋コンクリート橋脚を有する在来鉄道が多数存在し,地震時に被害が発生している.典型的な被害形態は,打ち継ぎ目での水平ずれと,打ち継ぎ目下側のコンクリートの剥落である.本研究では,2004年新潟県中越地震で被災した魚野川橋梁14P橋脚を対象とし,改良版個別要素法を用いて被災メカニズムを分析し,H鋼と鋼板を用いた耐震対策の効果を検討した.その結果,被災メカニズムは,打ち継ぎ目の摩擦力と,打ち継ぎ目上側のロッキングによる衝突力によって,打ち継ぎ目下側に引張破壊が生じたものと推察された.また,耐震対策はいずれも,打ち継ぎ目の水平ずれが低減し一定の効果を確認できたが,補強材との接触部においてコンクリートが破壊し,効果は限定的であることがわかった.