土木学会論文集A1(構造・地震工学)
Online ISSN : 2185-4653
ISSN-L : 2185-4653
地震工学論文集第35巻(論文)
2011年東北地方太平洋沖地震による地殻変動からの回復過程の考察
三神 厚神山 眞
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2016 年 72 巻 4 号 p. I_413-I_423

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抄録

 東北地方太平洋沖地震によって東北地方の広域で地盤の沈降が生じ,港湾施設は非常に使いづらい状態となった.岸壁を嵩上げするなどの方策が講じられたが,地震後の隆起で逆に高くなりすぎて使いづらくなった漁港も現れた.同様なことは昭和南海地震の際の高知市でも起きており,長期にわたる浸水被害に悩まされた.
 本研究はGEONETデータを用いて東北地方太平洋沖地震の際の地殻変動に伴う広域地盤の沈降からの回復過程を考察するものである.検討の結果,本震後すぐに隆起に転じた場所と,本震後もしばらく沈降が続いた後,隆起に転じた場所があることや,本震後すぐに隆起に転じた場所ではその回復過程が指数関数を用いて良好に表現されること,指数関数の形状を確定する時定数の値が収束するには1年から3年程度要することなどがわかった.

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