抄録
東日本大震災以降,設計で考慮する事象を超えた事象への対応についての関心が高まり,「危機耐性」という概念が共有されるようになってきた.しかしながら,その理念は理解されつつあるものの,それを如何に耐震設計体系に実装すればよいのか,まだ試行段階にある.一方で,危機耐性のような考え方は,技術者にとって全く新しい概念ではなく,例えば道路橋示方書では,地震時にも支承部が安定して挙動することを求めながらも,支承部の破壊を前提として機能する落橋防止システムの採用が記載されている.本論は,平成24年道路橋示方書を対象に,危機耐性に資することができる概念,事例を抽出し整理するとともに,国内外の動向を踏まえ,危機耐性に配慮した設計に対する課題を整理する.